2023/06/06 11:34
こんにちは。
エルモデルの尾関です。
今回は前回に引き続き、金属製パーツについてお話していこうと思います。
さて、前回経産省が懸念を示していた金属製パーツですが、何が違法なものになるでしょうか。銃砲刀剣類所持等取締法(以下、銃刀法)と武器等製造法から見ていきましょう。
まずは銃刀法ですが、トイガンが関連してくるのは22条の2と3です。実際の条文としては以下のものになります。
銃砲刀剣類所持等取締法
(模造拳銃の所持の禁止)
第二十二条の二 何人も、模造拳銃(金属で作られ、かつ、拳銃に著しく類似する形態を有する物で内閣府令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)を所持してはならない。ただし、事業場の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出て輸出のための模造拳銃の製造又は輸出を業とする者(使用人を含む。)が、その製造又は輸出に係るものを業務のため所持する場合は、この限りでない。
2 前項ただし書の届出に関し必要な細目は、内閣府令で定める。
(販売目的の模擬銃器の所持の禁止)
第二十二条の三 何人も、販売の目的で、模擬銃器(金属で作られ、かつ、拳銃、小銃、機関銃又は猟銃に類似する形態及び撃発装置に相当する装置を有する物で、銃砲に改造することが著しく困難なものとして内閣府令で定めるもの以外のものをいう。次項において同じ。)を所持してはならない。
2 前条第一項ただし書及び第二項の規定は、模擬銃器の所持について準用する。
難しいですね~笑
まずは22条の2から見ていきましょう。この条文を簡単に言うと、
誰も模造拳銃(後述)を持っていちゃダメだよ~!
でも例外もあるよ!
ってことです。
では模造拳銃とは何でしょうか。
条文では、金属製の銃を形をしているもの。細かいことは内閣府令で定めていると書かれています。ここでよく間違えられるのが、金属モデルガン(拳銃)=模造拳銃と考えられてしまうことです。模造拳銃=金属モデルガン(拳銃)ではありませんし、上記で述べた例外のことでもありません。金属モデルガンは模造拳銃にあたらないことは、内閣府令に書かれています。
昭和三十三年総理府令第十六号
銃砲刀剣類所持等取締法施行規則
(模造拳銃)
第百二条 法第二十二条の二第一項の模造拳銃について内閣府令で定めるものは、次の各号に掲げる措置を施していないものとする。
一 銃腔こうに相当する部分を金属で完全に閉塞すること。
二 表面(銃把はに相当する部分の表面を除く。)の全体を白色又は黄色とすること。
(後略)
(模擬銃器に該当しない物)
第百三条 法第二十二条の三第一項の銃砲に改造することが著しく困難なものとして内閣府令で定めるものは、銃身、機関部体、引き金、撃鉄、撃針(回転弾倉式拳銃の撃針に限る。)、回転弾倉、尾筒、スライド及び遊底に相当する部分が、ブリネル硬さ試験方法(日本産業規格Z二二四三)により測定した硬さがHB
(10/500)
九十一以下の金属で作られているもので、別表第三の上欄に掲げる区分に応じ、同表の下欄に掲げる構造等のいずれかに該当するものとする。
(後略)
以上が、模造拳銃とそうでないものを定義している内閣府令です(製造の届出に係る部分は省略しました)。この条文の内容は、モデルガンユーザーの方ならご存じではないでしょうか。いわゆる金属モデルガンの規制内容です。
ここで本題に戻ります103条で挙げられている、銃身(バレル)、機関部体(メカユニット)、引き金(トリガー)、撃鉄(ハンマー)、撃針、回転弾倉(シリンダー)、尾筒、スライド、遊底(ボルト)、これらを金属で作ろうとすると、ブリネル硬さなどが絡んでくるわけです。また、武器等製造法で不許可での製造が禁止される銃砲部品に、ほぼ同じパーツが挙げられています(昭和二十八年通商産業省令第四十三号武器等製造法施行規則2条の8)。
つまり、これらのパーツを金属で製造販売するとき、モデルガン専用だとしても、下手をすると実銃でも使えると認定され、違法行為となる恐れがあるということです。なので、弊社ではそれらのパーツを金属で製造することはありません。『M31 Quick Carrier』『マルシンM16 Stainless Bolt Catch(仮称)』はブリネル硬さ91を超えるステンレス製ですが、上記のパーツにあたらないため、合法なわけです。
今回はこんなところで終わりたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
2023/06/06